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熱中症とその予防

熱中症は4つの病型に分類される

熱中症とは暑熱環境下で発生する暑熱障害の総称で、熱射時、熱疲労、熱痙攣、熱失神などに分類される。
熱中症になったことがある場合に、「熱中症の何になりましたか?」と質問されるのはこのためだ。
運動中は大量の熱が産生されるため、比較的短時間の暑熱環境下であっても、またそれほど気温が高くない状況であっても発症することがある。
運動中の熱中症は予防できることから、運動前や運動中の水分補給を十分に行うなどの正しい知識を身につけ、一生涯、熱中症にならないようにしよう。

そうはいっても自分だけではなく周りの人が熱中症になったときの処置を身につけることも大切だ。
熱中症は命にも関わるため、「死」を意識した予防と対処が必要だ。

熱射病

熱射病は、比較的短時間に大量の発汗があり、汗が止まってしまうような状況にあっても給水をしない場合に起きやすい。
現場では、意識症状が先に出ることが多く、例えば「ちょっと具合が悪い」などと指導者に言ってる。そのときに、ウエアが濡れていなかったら汗をかいていない、つまり 3%以上の脱水だと確認ができる。
また、触って熱ければ汗が出なくて体温がこもっている状態だと確認できる。
どちらにしてもすぐに救急車を呼ぶことを含め、救急処置をしなくてはならない。
様子を見ている時間などなく、救急処置が必要であり、遅れることで死亡事故となる危険性があることを知っておく必要がある。

熱疲労

熱疲労は、比較的ダラダラと脱水がすすんでいくイメージだ。
給水をしてはいるのだが、脱水の進みには追いつかず、徐々に症状が出てくる。
例えば、暑い目の練習後に頭が痛くなったり、吐き気があったり、食欲が落ちたりしたことはないだろうか?また、ドライブ中に渋帯を気にしてトイレに行かないように水分摂取を極端に控えていたら、夕方になって頭が痛くなったというようなこともないだろうか?
これらは、熱疲労だ。まだある。冬にこたつの中で居眠りをしたときや電気毛布の温度が高かったときなど、起きると頭が痛い、これも熱疲労だ。

このように暑い夏だけではなく、冬にも起こり、アスリートだけではなく、一般の人にも起こる。夏場の頭痛は、熱疲労かもしれないと疑ってみるとよい。熱疲労になったかどうかは、尿の量と色から確認できる。

熱疲労だと確認したら、水分を補給し、色の薄い尿が大量に出るように脱水を改善させるとよい。
アスリートの場合、気温に関係なくいつも同じ量の給水しか準備していないと、暑い日に熱疲労になるのは当たり前だ。
気温や湿度を考えた給水の準備をすべきだ。熱疲労が進行した場合、熱射病に進む可能性が高い。

熱痙攣

熱痙攣は、水分補給をする際、塩分の補給がないか少ない場合に起こる。
水やお茶、薄めたスポーツドリンクを飲んでいるときに起こりやすい。
汗には、水分と電解質が含まれる。
発汗量が多くなると、電解質の中でも塩分を大量に失うことになる。
人間の神経伝達や筋肉の収縮・弛緩は全て電気刺激で行われるが、収縮する場合、脳から神経細胞を通って筋肉細胞へ筋肉を収縮させる信号が送られると、細胞内のカリウムと細胞外のナトリウムが入れ替わることで電気が発生し、これが刺激となって筋肉が収縮する(弛緩の場合にはこの反対の現象となる)。
しかし、脱水しても水分だけで塩分が補給されないときには、細胞内液と外液のナトリウムとカリウム濃度に不均衡が起き、電気刺激が正常に行われず、筋痙攣のような症状が起こるのだ。
熱痙攣の前兆症状としては、脚がつったり、手がこわばったりする。練習や試合中に脚を伸ばすストレッチのようなことを始めたアスリートがいたときには、熱痙攣ではないかと疑い、水分補給の状態を確認するとともに積極的に補給させなくてはならない。

熱失神

熱失神は、体温の上昇によって皮膚表面に血液が集められるために循環血液が減少している状態で、急に運動を止めることによって、静脈血の循環が悪くなり、脳貧血のような症状を呈することである。
汗をかいて脱水した状態で動きを急に止めると、熱失神になる可能性を知ることが大切である。
また、急に止まらないように脈拍が落ち着くまで、歩行したり、足踏みをしたりするなどの対処法も心得ておくことが必要だ。
熱中症は、夏でも冬でも“いつでも”、屋外でも室内でも”どこでも”、アスリートでもそうでなくても、赤ちゃんから高齢者まで誰でも”、発症するのだ。

予防するには水分補給を正しく行い、脱水しないことだ。