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消化管の働き


口腔の働き

口腔では、歯で食物を噛み砕き、唾液と混ぜる咀嚼が行われる。
唾液には、「プチアリン(唾液アミラーゼ)」と「ムチン(粘液)」が含まれていて、耳下腺、舌下腺、顎下腺の3カ所の唾液腺から1日1200ml程度分泌されている。
プチアリンは、デンプンなどの糖質を分解する酵素で、ご飯を噛んでいると甘くなるのは、このプチアリンの作用によるものである。
食べたものを噛み砕いて、唾液とまぜることにより、食べ物の中に入っていた糖質が、化学反応を起こして分解され、二糖類になると、舌に甘みを感じるようになる。
ムチンは、粘液で、緊張したときに出る唾液の中に多く含まれる。
梅干しを頭に描いたときに出るサラサラした唾液にはムチンが少ないが、緊張したときに出る唾液にはムチンが多く、口の中が粘ついたり、乾いたような感じになったりする。

味覚は、舌にある「味蕾」で感知し、「舌神経」と「舌咽神経」によって味覚中枢に伝えられる。
咀嚼された食物は、反射的に飲み込まれ、食道に送られる。
食道は、食物を筋肉の収縮による蠕動によって胃に送る。

胃の働き

食道から胃に運ばれた食物は、胃液の酸によって殺菌される。
胃液は、1日に2ℓ程度分泌される。また、胃は、胃液の分泌を促進する消化管ホルモンの「ガストリン」、消化酵素の「ペプシノーゲン(ペプシン)」、ビタミンB12の腸での吸収に不可欠な糖タンパク質の一種である「内因子」や粘液などを分泌する働きもある。ペプシンは、タンパク質を分解する酵素で、タンパク質の化学的消化は、胃の中から始まる。

食物の胃内での停滞時間は、固体を食べたときには通常3~6時間程度。胃の筋肉運動によって消化液と粘液の混和が行われ、小腸の一部である十二指腸に2~3分に1回の割合で少量ずつ送る。
また、胃では、アルコールや鉄の一部をはじめ、少量の塩分やブドウ糖を吸収する。

小腸の働き

小腸は、「十二指腸」「空腸」「回腸」からなり、腸液を分泌する。また、膵臓から膵液、胆のうから胆汁が小腸内に分泌され、蠕動運動や分節運動、振子運動によって、これらの消化液と食物が混和される。
これで食物の消化が完了する。
腸液は、消化酵素が含まれるほか、胃から送られた酸性となった食塊(消化途中の食物)をアルカリ性の「炭酸水素ナトリウム」で中性に中和する働きがある。
また、食物が滑らかに小腸を移動するための粘液も含まれている。食塊は小腸の筋肉の運動により粉々にされ、最終的には粥状になる。

また、小腸からは、「コレシストキニン」や「モチリン」といった消化管ホルモンも分泌される。消化管ホルモンは、小腸の運動や腸液などの分泌調節をしている。
食べたものは胃でとどまるため、十二指腸に大量の食物が一度に送られることはなく、効果的な消化が行われる。たくさん食べたときに胃がぽっこりと前に出ることがあるが、十二指腸が出ることがないのは、このためである。
ほとんどの栄養素の吸収は、主に空腸と回腸で行われる。エネルギーをかけずに行う受動輸送(単純拡散)とエネルギーを使って吸収する能動輸送がある。

膵臓の働き

膵臓では、膵液を十二指腸で分泌し、また、血糖値
調節ホルモンである「インスリン(血糖値を低下させる)」や「グルカゴン(血糖値を上昇させる)」などのペプチド系ホルモンも分泌する。
膵液に含まれる消化酵素の数は多く、糖質、脂質、タンパク質の最終消化のための消化液がすべて入っている。タンパク質を分解する酵素を「プロテアーゼ」、糖質を分解する酵素を「アミラーゼ」、脂質を分解する酵素を「リパーゼ」と総称する。
膵臓の機能が落ちると、栄養素の化学的消化が抑制される。このため膵臓は消化にはなくてはならない臓器といえる。