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骨盤部の怪我の危険性

骨盤輪骨折

骨盤輪骨折には応急処置を必要とするものがあるので慎重に,かつ速やかに判断し専門医に託すことを念頭に診察する。初期症状が軽度でも状態が急変することもあるので注意を要する。骨盤輪骨折は一カ所で発生した場合、転位は比較的軽度である。
骨盤輪骨折の中で同側の恥骨上・下枝や恥骨上枝と坐骨の骨折に,仙腸関節や恥骨結合の離開が垂直に重複して骨折している場合はこれを垂直重複骨折(マルゲーニュ骨折という)
骨片は下肢とともに上方に転位し、骨盤部の著しい変形や、外見上下肢の短縮がみられるが棘下長は健側と変化がないことが特徴である。
一般に起立や歩行は不能である。仰向けで膝関節伸展位のまま下肢を挙上できない。正常な股関節内に大腿骨頭があるので,下肢の他動運動は可能である.
■合併症
1. ショック
大量の内出血によりショックを起こすことがある、皮下出血斑が陰嚢部や殿部に出現したり、鼠径靱帯に沿ってびまん性に拡大するときは大量の内出血を示唆している。
2膀胱損傷,尿道損傷
両側恥骨の骨折による膀胱損傷、尿道損傷の発生頻度が高い。
3. 腸管損傷
特徴的症状には、腹壁強直、腸管蠣動音消失,腹部膨満感などがある.
4. 神経損傷
転位のある片側骨盤輪骨折で腰・仙骨神経叢損傷、仙骨骨折で仙骨神経損傷がみられる.
5.脂肪塞栓症
■治療法
(1)骨盤骨折の連続性離断部位が1ヵ所と2ヵ所では、治療法,予後、合併症に大きな違いがある。(2)1ヵ所の骨折や安定性のよい2カ所骨盤輪骨折では3~5週、キャンバス牽引法、直達牽引法などで固定する、2~3週後から体幹および下肢の自動運動ならびに抵抗運動を行う、運動は患者が疼痛に耐えられる範囲内で行い、松葉杖歩行は3~5週後から開始するが、体重の負荷は慎重に行う。回後には約10週が必要である。

大腿骨頸部骨折

骨粗鬆症がある高齢者に多発する。高齢者の保存療法では寝たきりによる様々な合併症を引き起こす。
発生機序
転んだ際に大転子部を打った際、大腿骨頸部に長軸圧や剪断力、屈曲力などが働き発生することが多い。
また、歩行や起立動作で、捻転力な屈曲力が加わり発生するものもある。高齢者の転倒など低エネルギー損傷が多い。

治療法

1.内転型骨折
長期以床による合併症を避けるため,早期離床を目的とした観血療法(人工骨頭置換術、人工関節置換術、釘固定術など)の適応となる。応急処置をして専門医に話す。
2.外転型骨折
免荷と固定による保存療法で骨癒合を望めるが、多くは観血療法が行われる.
3.持続牽引療法、副子固定法
全身状態が良好で、不全骨折や噛合している外転型骨折に用いられる場合がある。
■固定後の留意点
高齢者の骨折では長期の固定と臥床によって起こる続発症に注意する。
長期固定による膝関節の可動域制限は必発するので,固定期間中、膝蓋骨を含む膝関節の運動や大腿四頭筋を中心とし下肢の筋の等尺性収縮運動などが必要である。また,必要に応じて全身の運動も実施する.
■固定期間
保存療法での固定期間は12週以上が必要である、頸部骨折は、部位、程度により固定期間の差が大きく、固定の除去、荷重許可、治癒の判定や予後の判定には考感すべき事項が多い。

まとめ

今回は骨盤部周りの怪我についてお話ししました。
怪我する部位によって治るまでの時間や様々な合併症、予後、命に関わる怪我なのか、気を付ける点が多くあります。
交通事故のような高エネルギーの怪我や高齢者の転倒による低エネルギーの怪我まで骨盤部の怪我は様々なことが原因になります。
交通事故や転倒には十分気をつけましょう。
そして正しく治療を行い、正しいリハビリを行い、予後良好な生活を送りましょう。

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