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手首、手指周りの症状

三角繊維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)

■発生機序
転倒などで強く手を衝いた際や、手関節から前腕に強いねじれ外力、とくに回内力が加わった際に発生するものと,手関節の使いすぎや変性がある場合の軽微な外力で発生するものとがある。変性の場合は、尺骨突き上げ症候群に合併して生じることが多い。

症状
回内・回外運動時に疼痛とクリック感を訴え、尺屈をさせると疼痛は増強する。手関節尺側の尺骨頭と手根骨間に圧痛があり、TFCC ストレステストが陽性になる。尺骨茎状突起骨折などがある場合は、関節の不安定性がみられる。

■治療法
原因となる動作を中止し,患部の安静を図る、症状の改善がみられない場合は、観血療法の適応がある。

ド・ケルバン病

■概説
伸筋支帯の第1区画内を通過する長母指外転筋腱と短母指伸筋の狭窄性腱鞘炎である。50歳代と20歳代の女性に好発する、両側の発症は少ないが、利き手に多いとは限らない。検査法にはフィンケルスタインテストがある。

■発生機序
手関節および母指の過度の使用で発生する。妊娠や出産によるホルモン代謝の変化が関与するとの報告もある。

■症状
手関節や第1指の運動痛がみられる、第1区画部に腫脹、圧痛、熱感,硬結を認めるものもある。

■治療法
疼痛の強いものは第1指を良肢位にして、前腕中央部からIP 関節まで固定し、1~2週安静を保持する.熱感のあるものは,冷罨法を行う。
症状が改善されない場合は、医師に対診を依頼する。

手根管症候群

神経絞扼障害中、もっとも頻発する、手根管内を屈筋群の腱とともに通過する正中神経が圧迫されて発生する。

■発生機序
骨折や脱臼の合併症としての発症もあるが、多くは原因が特定できない。トンネルの狭小化を招く因子として,変形性関節症、関節リウマチ、ガングリオン、屈筋腱腱鞘炎、脂肪腫、透析によるアミロイド沈着などがある、女性に多く,閉経後に発症することがある。

症状
第1指から第4指の掌橈側半分までのシビレ感がある、シビレ感は、早朝に強く、手を振ることで軽減する。疼痛は手関節、手指にみられ、母指球は萎縮し、筋力低下が起こり、ボタン掛けや,つまみ動作が不自由になり,チネル徴候,ファーレンテストが陽性になる。


ギヨン管症候群

尺骨神経が尺骨神経管で絞扼されて発生する。

■発生機序
手根部の打撲やサイクリングによるハンドルでの長時間の圧迫、手を衝くスポーツ、ガングリオンによる圧迫が原因の大部分を占める.

症状
第4・5指のシビレ感、疼痛があり、フロマン徴候が出現し、巧緻運動障害が出現する。
感覚障害は手のひら尺側にみられ手背尺側の障害は免れる。